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石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川九楊は、現代を代表する書家にして評論家です。第二次世界大戦後に生まれた前衛書道の域にとどまらず、現代音楽や現代絵画、そして現代詩にも通ずる、比類なき作品を制作してきました。

1945年、福井県に生まれた石川は、5歳の頃から木村蒼岳の書道教室に通い始め、8歳で杉本長雲に入門。書の芸術性に目覚めたのは12歳の時で、垣内楊石と出会ったことがきっかけです。その後、弁護士を目指して1963年に京都大学法学部に進学するものの、石川の関心や意欲は、入学と同時に門を叩いた書道部での活動に向けられます。書の世界にのめりこんでいった石川は、友人達と書の研究団体「由蘖会(ゆうげつかい)」を結成し、詩作にも取り組みました。谷川雁や田村隆一、吉本隆明ら荒地派の詩に感銘を受けたのもこの頃です。彼らの言葉をどのように書くべきかという出発点から、「書とは一体何か」という、自身にとって永遠のテーマとなる問いに本格的に向き合い始めます。

1970年代に生み出された、いわゆる「灰色の時代」の作品は、書の伝統に対する挑戦でした。この時期は灰色の濃淡に満ちた染め紙を用い、この時代の記念碑となる【エロイ・エロイ・ラマ・サバクタニ】(1972年)をはじめとする独自の作品を次々と創出しています。しかしながら、この新しい書風もやがて定型化を余儀なくされます。その停滞からの脱却を試みた石川は、目隠しや左手での創作といった試行錯誤を経て、徐々に白い紙へと回帰していきます。それに伴い、80年代からは日本古典文学を題材に、【歎異抄】、【徒然草】、【方丈記】、そして【源氏物語】シリーズの制作に着手します。同じ手法に甘んじることなく、その都度多彩な技法を駆使し、各作品の世界観を丹念に描き出しました。
その後、2001年に起きたアメリカの同時多発テロ事件を契機に、石川は再び詩作に取り組み、現代文明への批判を込めた作品を発表していきます。書の概念を打ち破る石川の作品は、いずれの時代においても、観る者の目を捉えてはなさない、作者自身ですら想像しえなかった未知の世界を宿しています。

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

石川 九楊/Ishikawa Kyuyou

作品名:方丈記(書)

サイズ:15.8×98cm(紙に墨 共シール)

価格:Not for Sale

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