嶋本 昭三/Shimamoto Shozo
画家の嶋本昭三は、「具体美術協会」に創設当初から在籍していた主要メンバーの一人です。常に時代の先端を走り続けた彼は晩年に至るまで、スケールの大きなパフォーマンスを繰り広げました。
1928年、大阪に生まれた嶋本は、関西学院大学文学部に在学していた1947年より、画家の吉原治良に師事するようになります。1950年代前半に制作した、古新聞を貼り合わせてカンヴァスに見立てたものに穴を開けた作品は、吉原から高い評価を受けました。以降、彼は吉原門下生のリーダーとして先頭に立ち、雑誌「具体」の発刊においても中心的な役割を担いました。「具体美術協会」が本格的に始動すると、嶋本はトタンに穴を開けた作品や、上を歩くことのできる体験型の作品、アセチレンガスの爆発によって絵の具をカンヴァスにはじき飛ばす「大砲絵画」など、作者の意図を超えて形を成す、そんな新しい造形を次々と生み出しました。中でも、絵の具を瓶に詰めてカンヴァスに投げつける「ビン投げ」は、嶋本を象徴するパフォーマンスです。
「具体美術協会」を退会した後も、この実験精神が衰えることはなく、女性の裸体を転写する「女拓」やスキンヘッド・アート、メール・アートといった分野に挑戦し、美術表現における様々な枠組みや概念を容易に飛び越えていきました。「芸術とは、人を驚かせることである」という自身の言葉の通り、嶋本のエネルギッシュな活動と作品は今もなお、観る者に新鮮な驚きをもたらしています。
作品名:スーダンのアブシンベル
サイズ:27.1cm×24.1cm(1963年 色紙にエナメル、インク、水彩)
価格:ASK