藤田 喬平/Fujita Kyohei
藤田喬平は、東京美術学校で彫金を学んだ後、ガラス工芸に転向。イタリアで学んだ色ガラスに金箔を用いる新技法で独自の分野を確立。代表作「飾筥(かざりばこ)」は国内外で高い評価を受け、「世界の藤田」としてその名を轟かせている。
個展を中心に活動していた藤田は、1964年に「虹彩」という名のオブジェかつ花器の作品を発表。流れていくガラスが冷えて固まる一瞬を留めた作品を「流動ガラス」と名付け、数々の作品を制作。ガラス作家としての地位を確かなものにする。
1973年からは藤田の代表作ともいえる「飾筥」シリーズを発表。鉄製の型の中に吹いたガラスを柔らかいうちに入れ、角型の作品を作り出すことに成功。「尾形光琳や俵屋宗達が生きていたらガラスでどんなものを作っただろう」という発想から生み出されたと言われており、「源氏物語」や「竹取物語」、「古都」や「花散る里」などの「日本の美」をテーマに創作されている。
コペンハーゲンで開催された展覧会では、「この箱に宝石を入れても宝石の方が霞んでしまいそうですが、いったいこの箱は何を入れるものですか?」という記者からの質問に、「あなたが大切にされている夢をいれてください」と返答したというエピソードが語り継がれ、それ以来「飾筥」は「ドリームボックス」とも呼ばれるようになった。
現代の「Rimpa=琳派」として、その格調高い装飾美が評価を一段と高め、「世界の藤田」として人々を驚嘆させた。2002年にはガラス工芸家として初の文化勲章を受賞した。
2021年は藤田喬平生誕100年の年にあたる。本作は飾筥の中で最も評価の高い紅白梅で、20cmを超える大作である。
作品名:手吹飾筥 紅白梅
サイズ:H24cm×W25cm
価格:SOLD OUT