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ヨゼフ・ボイス/Joseph Beuys

20世紀を代表するドイツの美術家ヨゼフ・ボイス(1921~1986)は、独創的な彫刻作品の制作をはじめ、レクチャーや対話集会、アクションに加え、政治や環境問題への問題提起など広範な分野で活動しました。

1921年、ドイツのクレーフェルトに生まれたボイスは、その年の秋にオランダとの国境に位置するクレーヴェへと引っ越し、自然や動物と触れ合う幼少期を過ごしました。ヒンデンブルク・ギムナジウムに在籍していた学生時代にはヒトラー・ユーゲントに加入しますが、そこで焚書対象となっていた彫刻家ヴィルヘルム・レームブルック(1881~1919)の作品集に感銘を受けます。また、元々関心を抱いていた自然科学に加え、哲学や文学、音楽に美術、さらには北欧神話や伝承などあらゆる知識を吸収していきました。第二次世界大戦中は通信兵として従軍し、1944年に冬のクリミア半島に墜落した際には、現地の遊牧民タタール人によって奇跡的に救出されました。体の傷に脂肪を塗られ、フェルトで温められたとされているこの特異な出来事は、後の【脂肪の椅子】(1963年)や【フェルトスーツ】(1970年)といった作品で自らの命を救ったそれらを素材として使ったこと、変化や生命を意味する「熱」が創作における重要なテーマの一つになったことと密接につながっています。戦後は、デュッセルドルフ芸術アカデミーで勉強を再開しました。師であるエーヴァルト・マタレー(1887~1965)は動物の彫刻に定評があり、彼の指導に影響を受けたボイスもまた、白鳥やウサギ、ヘラジカ、ミツバチなどの動物モチーフを繰り返し用いることとなります。

しかし、1961年に同アカデミーの教授に就任した時点でもボイスはまだ無名のアーティストであり、その名が世に知られるには、「ヴィデオ・アートの父」と呼ばれる韓国生まれの美術家ナムジュン・パイク(1932~2006)やジョージ・マチューナス(1931~1978)らフルクサスのメンバーとの出会いを待たねばなりませんでした。1960年代に誕生した反芸術的な集団フルクサスには、美術、音楽、文学などあらゆる分野と国を越境して多様なアーティストが集まっていました。短期間ながらその一員となり、パフォーマンスアートの爆発的なエネルギーに触れたボイスは、1963年のフルクサス・フェスティバルにて、ピアノを演奏したあと死んだウサギの心臓をナイフで取りだす【シベリア交響曲第一楽章】というアクションを行い、パフォーマンスアーティストとしての地位を確立したのです。

その後もテーマ性の強いアクションを数多く実践したほか、そこで使用した物品やメッセージをガラスケースに遺物として収める「ヴィトリーヌ」の形式で、鑑賞者に生死の境界を意識させました。エコロジー運動にも積極的に参与し、晩年にはカッセル市内に樫の木を植樹する【7000本の樫の木】という大規模なプロジェクトを開始し、有機物である木のかたわらに無機物の玄武岩を埋めることで、世界が生と死という二つの要素によって構成されていることを示そうとしました。

芸術の概念を徹底的に問い直し、社会とのつながりを明確にしたボイスは、芸術のみならず、社会や政治、教育、宗教などあらゆる活動における創造性によって未来を造形していく「社会彫刻」を提唱し、それに自ら関わる人々は「誰もが芸術家である」と説いています。彼が提起した数々の問いは同時代の「芸術家」たちはもちろんのこと、現代を生きるすべての「芸術家」にも、重みをもって投げかけられ続けているのです。

ヨゼフ・ボイス/Joseph Beuys

ヨゼフ・ボイス/Joseph Beuys

ヨゼフ・ボイス/Joseph Beuys

ヨゼフ・ボイス/Joseph Beuys

作品名:John Dillinger

サイズ:17×22.5cm(ミックストメディア ed.120)

価格:600,000円

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