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前田 昭博/Maeta Akihiro

前田昭博(1954~)は、重要無形文化財「白磁」の保持者であり、現代の日本工芸界を代表する陶芸家の一人です。

鳥取県八頭郡河原町(現・鳥取市河原町)に生まれた前田が白磁と出会ったのは、大阪芸術大学工芸学科陶芸専攻に在学中のことでした。様々な焼き物を学んでいくなかで、白一色で魅せる造形やろくろの表現力に惹きつけられ、すっかり白磁のとりことなると、1977年に同大学を卒業後、郷里に帰って「やなせ窯」を築き、白磁の技法や表現を独学で追求していきました。前田の作陶では、まずろくろで内から外へとふくらませるように器の形を整えた後、手指で丁寧に圧力をかけて面取りや捻りを施し、ふくよかな曲線を作りあげます。その滑らかな表面に光沢を抑えた半透明の釉薬をかけて焼成すると、自然の光のなかで繊細な変化を見せる、美しい陰影が生まれるのです。土は、九州天草から取り寄せた陶石の粉に水分を加え、粘土状に練り上げたものを使用しています。

優れた芸術性と洗練された現代感覚にあふれる前田の作品は、白磁の新たな可能性を提示するものとして高い評価を受けました。1991年の第11回日本陶芸展における毎日新聞社賞や、1993年の第48回新匠工芸展における富本賞、2000年の第47回日本伝統工芸展における朝日新聞社賞など数多くの賞を獲得したほか、2007年には紫綬褒章を受章し、2013年には先述の通り重要無形文化財保持者に認定されています。アジアや欧米各国の展覧会にも招待出品しており、陶磁器収集で知られるスイスのアリアナ美術館や、韓国の利川(イチョン)世界陶磁器センター、イギリスの大英博物館に作品が収蔵されているなど、その独自性や美しさは国際的にも認められています。ただでさえ国内での作り手が少ない白磁を、陶磁器の産地ではない故郷の過疎地でひとり根気強く作り続けた前田にとって、山陰ならではのしっとりとした雪の白さや、そこに描かれる自然の陰影は、自身が目指す作品の手本となりました。現在もその地で制作を続けながら、日本の工芸を継承していく人間として工芸による地域づくりの活動も展開し、移住してきた若手作家たちを率先して支援しています。

前田の白磁には、鑑賞者や使い手を包みこむような柔らかさやぬくもりがあります。それは、人々の悲しみを癒し、活力や喜びをもたらすような器づくりを目指す彼の優しさそのものなのかもしれません。

前田 昭博/Maeta Akihiro

前田 昭博/Maeta Akihiro

前田 昭博/Maeta Akihiro

前田 昭博/Maeta Akihiro

作品名:白磁手付鉢

サイズ:H19×W17×17cm(セラミック 共箱)

価格:150,000円

価格は税抜き表示です

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