川俣 正/Kawamata Tadashi
川俣正(1953〜)は、北海道生まれの造形作家です。現在はパリを拠点に、欧州・アジア各地で幅広い活動を展開しています。
公共空間に材木を張り巡らせるなど、大規模な作品を手がけることで知られており、「プロジェクト」という言葉がアートシーンで使われるようになった1980年代の日本において、すでに準備、設置、解体などのプロセス全体を作品とみなす「ワーク・イン・プログレス」のスタイルを採用していました。東京藝術大学在学中から木材によるインスタレーション作品を発表していた川俣は、その後、28歳の若さで第40回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1982年)の参加アーティストに選ばれ、以降、ドイツで行われる現代美術の大型グループ展「ドクメンタ」や、第3回ミュンスター彫刻プロジェクト(1997年)など、世界各国の国際展に参加して高い評価を受けました。また、1998年には、東京藝術大学先端芸術表現科の設立に主任教授として参画し、2005年には横浜トリエンナーレの総合ディレクターを務めるなど、その活躍の場はアーティストの枠に収まらないほど多彩です。
薬物やアルコール依存患者、失業者など社会的な問題を抱えた人々のために川俣が作成したワーキング・プログラムも、協同作業を通して、そこに関わる人々の記憶や精神をもあわせのんでいくような、スケールの大きな作品を生み出しています。こうしたサイト・スペシフィック志向の実験的な試みを、世界各地で40年以上にわたって続ける川俣は、まさに現代を代表する芸術家の一人と言えます。
作品名:Ecole des Beaux Arts Aix en Provence (A-1)
サイズ:98×118cm(1987年 紙にダンボール、アクリル、鉛筆)
価格:ASK