名坂 有子/Nasaka Yuko
名坂有子は大阪出身の美術家です。彼女は、1960年代前半の「具体美術協会」に新風を吹きこんだ、第二世代のメンバーの一人として数えられています。
名坂は1962年の第15回芦屋市展に、巨大なダンボールに無数の穴を開けた作品を出品し、市長賞と15周年記念賞を受賞しました。吉原治良の目にも留まったこの作品をきっかけに、彼女は吉原に師事し、翌年には「具体美術協会」に加入しました。
名坂の作品の特徴としてまず挙げられるのは、円形のモチーフです。この形状への関心は、実家がメーター製造所であったことから、幼い頃より育まれたものと考えられます。そして、同一の形を連続して並べ、画面を埋めつくすスタイルと、広いスペースを必要とする作品の巨大さには、鑑賞者はおろか、空間全体までも飲みこんでしまうほど力強さと存在感がみなぎっています。1964年にグタイピナコテカで初めて開催された個展では、美術家のロバート・ラウシェンバーグ(1925〜2008)や作曲家のジョン・ケージ(1912〜1992)、舞踏家のマース・カニングハム(1919〜2009)といった面々を驚嘆させたと言われています。
作品名:無題
サイズ:60×60cm(1978年 パネルにミックストメディア)
価格:ASK